轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
自分は父の今わの際の遺言に基いて、川手の子孫の根絶やしを思い立ち、生涯をその復讐事業の為に捧げたのである。
北園竜子は本名を山本京子といい、自分の肉親の妹だが、三重渦巻の異様な指紋を持っていたので、それを利用して川手一家のものを脅かす手段とした。この目論見は、意外の効果を収め、自分達は三重渦巻の賊とまで呼ばれるに至った。その妹京子も宗像博士の為に捉えられ、遂に隙を見て自殺してしまった。自分はもうこの世に何の思い残すところもない。一刻も早く冥途に行って、可愛い京子に会い、二人の生涯をかけての大事業の完成を喜び合いたいばかりだ」
という意味のことが、拙い鉛筆文字で細々と認められ、その終りに「山本始」と署名がしてあった。これで明智小五郎の竜子他殺説は全く誤解であったことが判明した。流石の明智も、この事件では、いらざる差出口をして、却って新進宗像博士の引立て役を勤めたかの観があった。彼の推察が見当違いであったのに反して、博士の口約は見事に果された。眼帯の男山本始を殺してしまったのは残念だけれど、博士の手が犯人の直後に迫っていたことは、彼の遺書によっても明かであった。