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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
明智小五郎の推理
明智は弁解しながら、なおも川手氏発見の模様を何かと話しつづけるうちに、やがて、電話室から宗像博士も席に戻って来た。
「御用はすみましたか」
明智は非常に愛想よく、ニコニコ笑いながら声をかけた。
「すみましたよ。どうもお待たせしました。では、今のお話をつづけて頂きましょうか」
博士も妙に丁寧な口調で答え、何かひどく嬉しい事でもあるようにロイド眼鏡の中の目を細め、三角髯をゆるがせながら、ニタニタと笑って見せるのであった。
明智小五郎の推理
博士が電話室から帰って来ると、その間中絶していた話題が、刑事部長の質問でまた元に戻った。「で、あなたは、その川手氏の口から何か聞き出されたのですか。北園竜子が真犯人でないというようなことを」
「イヤ、川手氏は別に何も知ってはいないのです。ただ今度の犯人の親達が川手氏のお父さんのために無残な最期をとげた、その復讐のために川手氏一家の鏖を企てたということ、犯人の一人の眼帯の男は本名を山本始といい、男装の女はその実の妹であることなどが分ったばかりで、二人とも変装をしていたので、犯人達の顔さえはっきりは覚えていないという仕末です」