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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页
掃除人夫
「若し邸の中に隠れているとすれば、もう一度捜索して下さる訳には……」
「僕もそれを考えているのです。しかし、念の為めに、門前に見張りをしている刑事に、よく訊ねて見ましょう。まだ二人だけ私服が居残っている筈です」
そういうと、博士はもう部屋の外へ走り出していた。小池助手と川手氏とが、慌しくそのあとにつづく。
掃除人夫
門前に出て見ると、背広に鳥打帽の目の鋭い男が、煙草をふかしながら、ジロジロと町の人通りを眺めていた。
「君、その後、不審な人物は出入りしなかったでしょうね。何か大きな荷物を持った奴が、ここから出たという様なことはなかったですか」
博士がいきなり訊ねると、刑事は不意を打たれて、目をパチパチさせた。
この刑事は、早朝邸内の大捜索が終ったあと、万一犯人が邸内に潜んでいて、逃げ出すようなことがあってはと、念の為めに見張りを命ぜられていたのだから、若し不審の人物が出入りすれば、見逃す筈はなかった。
「イイエ、誰も通りませんでした。あなた方の外には誰も」
刑事は、宗像博士が彼等の上役中村捜査係長の友人であることを、よく知っていた。
「間違いないでしょうね。