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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

刑事は、ひたすら自分の落度にならないことを願うのであった。

「偶然の一致かも知れない。そうでないかも知れない。我々は急いでそれを確かめて見なければならないのです。犯人は妙子さんの自由を奪って、どこかへ隠して置いて、独りでここを逃げ出し、改めて妙子さんを運び出す為に戻って来た、と考えられないこともない。今朝あなた方が邸内を捜索している間に、犯人がひとりで逃げ出すような隙は、いくらもあったのですからね」

「隠して置いたといって、お嬢さんを塵芥箱の中へですか」

「突飛な想像です。しかし、あいつはいつも、思い切って突飛なことを考える奴です。それに、我々は今朝の捜索の時、塵芥箱の塵芥の中までは探さなかったのですからね。サア、一緒に行って、調べて見ましょう」

人々は博士のあとに従って、門内に入り、勝手口の方へ急いだ。博士と刑事のあとから、青ざめた川手氏と小池助手とがつづく。

問題の塵芥箱は、炊事場の外の、コンクリート塀の下に置いてある。黒く塗った木製の大きな箱だ。これなれば、人間一人十分隠れることが出来る。

博士はツカツカとその塵芥箱の側に近づいて、蓋を開いた。