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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
「葉の色が少し派手すぎたでしょうか」
「まあそんなもんだろう」
「ご挨拶ですこと」と云って佳奈は初めて振返った、「――なにを見ていらっしゃるの」
「その着物さ」直衛はまだ佳奈の姿を眺めながら坐った、「めかしているじゃないか、どうしたんだ」
佳奈は直衛をにらんで身のまわりを片づけ、茶を淹れるからと立っていった。直衛も立ちあがって縁側へ出てゆき、腕組みをして、冷たい板を素足で踏みながら、縁側をぼんやりと往ったり来たりした。茶の支度ができた、と云う声で振返ると、家扶の畠中重平であった。直衛は頷いて居間へいったが、畠中がついて来て、佳奈の姿はみえず、机の脇に茶の支度ができていた。
「河本のお嬢さまがこれを」と畠中が袱紗包を差出した、「お渡し下さるようにと仰しゃいました」
直衛は受取りながら、訝しそうに畠中を見た。
「お嬢さまはいまお帰りなさいました」
直衛が頷くと、畠中は去った。なんだ、と口の中で呟きながら、直衛は袱紗をあけた。出て来たのは白紙の包で、表に「持参金」と書いてあり、中に十五両はいっていた。手紙もなにもない、その金包だけであった。
「おまえらしいな、かな公」