轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页

青空文庫

ぬいだ物を片づけて家士が去ると、佳奈が茶と菓子を持って来た。

「佳奈はこの家を占領したのか」と直衛が云った、「おれの云うことをきいてくれなくなったぞ」

「昼間からお酒はいけません」と佳奈が答えた、「これを召上ってみて下さい」

杏子くらいの大きさで、色も熟れた杏子色のなにかの果実が、平皿の上に三つ並んでいた。箸が添えてあるので、その一つを喰べてみると、木でも噛むように固くて、ちょっと歯の立たない感じだった。

「なんだ、これは」直衛は口の中のそれを箸で摘み出して、眺めた、「噛めやしないぞ」

「そんなことがあるもんですか」

「じゃあ喰べてみるさ」

「さっき一ついただいたんですよ」と云いながら、皿の上の一つを取って口に入れた、「あらおかしい、どうしたんでしょう」

彼女もすぐに口から出してしまった。

「いったいこれはなんの実だ」

「お庭の木瓜の実よ」と佳奈は云った、「先月のいまごろでしょうか、お留守にみつけて、あんまりみごとだから摘み取って、砂糖漬けにしてみたんです」

ところがどうしてもやわらかにならないので、今日は半日がかりで煮てみた。ちょっとまえに一つ喰べたら、固いことは固いけれども喰べられたし、特殊な風味があってうまかったのだ、と佳奈は云った。