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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页

青空文庫

〈一 和歌と俳句〉

これを了解して初めて溌溂たる意義の流れていることが見られるのである。これをもし[「しも」、あるいは「すら」]了解し得ないでは、歴史の流れの真の意義はつかみ得られぬのである。われらはあえてこの点に向かい論歩を進める。

〈一 和歌と俳句〉

わが国では江戸時代に多くの数学者が輩出した。多数の人物があるから、委細にこれを論ずるときは、種々雑多の分子が存したであろう。けれども江戸時代の算家について、芸術的の要素が多大に見られることはおおわれぬ。そのことについてはかつて「文化史上より見たる日本の数学」の篇中にも説き及ぶところがあった。

中につきて、著しく目につくのは、江戸時代の算家には和歌や俳句の嗜みがすこぶる行き渡っていたことである。今村知商の『因帰算歌』(一六四〇)のごとく歌によって算術を記そうという企ても早くから見えている。

一部の書物全体を通じてかくのごとき企てをしたものは、他に多く類例を求め難いけれども、書中に若干の詩歌を記したもののごときは、幾らも見られるのである。これらは初期以来の刊行算書中に、往々その例がある。

関孝和、建部兄弟、松永良弼等のごとき諸大家がこの種のことに関係が有ったか無かったかについては、今ほとんどその証拠を得ることができない。