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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页

青空文庫

本論

一 数学発達前の特色

数学者の立場からの研究よりは、文化史的の研究の方がはるかに重要な意義を有するのであって、前者は後者の完成を期するための方便に供せられ、これに従属させてしかるべきものである。

本篇においては江戸時代の和算の観察を主眼とするけれども、それ以前及び以後の時代についても、できるならばこれを参照したいのであって、多少これに論及するつもりである。

本論

一 数学発達前の特色

日本の神話には八百万の神とか、千五百秋だのというような、数を形容詞に使ったものが多く、またそれが古今を通じて人口に膾炙している。『万葉集』には八十一と書いて「くゝ」と訓んだ例もあり、古来数を歌に詠み込んだものも多く、子供の命名に太郎、次郎と順番を付するようなことも行われた。この事実は数の観念に切であったことを示すのである。

奈良、平安の都に街路の命名法として一方を一条二条と名づけ、これに交叉する道路には別の名称を付し、この縦横路線の交叉とその交叉点からの上下もしくは東西によりて地点を決定する方法を用いたのは、元来都城そのものの構成が支那のものを模したのであるから、あるいは支那で行われた命名法を採用したのか知らぬけれども、ともかく、こんな命名法が行われたというのもまた注意しておく必要がある。