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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页

青空文庫

〈五 『古今算法記』〉

けれども、誤りを犯したものは実におびただしい。初期の諸算書においてしかるのみならず、後代になっても引き続いて同様であった。和算家は粗漏勝ちであったという大きな弱点を暴露しているのである。

『算法闕疑抄』は礒村吉徳が万治三年(一六六〇)に著わすところ、巻末に一百の新問題を提出したが、この諸問の中には極めて注意すべきものがある。関孝和が『闕疑抄答術』を作り、その業績中の主要なものの大半はこれに基づいたのではないかと思われる。関孝和の業績が和算の創始ともいうべき価値あるものなるにおいて、『闕疑抄』の問題はその歴史的重要性が思われよう。新問題の提出がどれだけの役目をしたかは、ほとんど計り知るべからざるほどに大きい。この礒村吉徳はもと浪人であって、二本松藩に抱えられ安達太郎山から二本松城に引いた水利はこの人の施設にかかり、今も現に存在して、私もその現状を見たのである。礒村吉徳の閲歴といいその著書といい、『塵劫記』以来、関孝和以前における代表的のものといってよかろう。

〈五 『古今算法記』〉

関孝和の業績が現われる前には、一方には沢口一之の『古今算法記』(寛文十年、一六七〇)が出たことも注意すべき一つの要点である。