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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页
〈四 日本の美〉
これらの刊本や写本類に記載された算額の数も、ずいぶんおびただしいものであるが、現在の算額中にもこれら書類に見えないものがあるから、実際奉納された算額の数は、予想外に多かったのであろう。そうして記録なしに廃れて行ったのであろう。
算額流行の盛んなものであったことは、充分に思われる。
数学の問題を額面に仕立てて、宮や寺の壁間に掲げたというごとき例は、おそらくわが日本をおいては他に全く見られぬ図であったろう。西洋の数学史家の著書を見ても、日本の算額のことは記しながらも、他国での例をあげたものはさらに見当たらぬのである。
大小の算家が皆相率いて和歌や俳諧を学んだという詩趣豊かな国において、算題が盛んに絵馬に仕立てられ彩色などを加えて、一種の美術品に作られたというのも、決して偶然のことではなかったろうと見たい。
私はかく見るのであるが、これは私一人の僻目であろうか。読者の判断を望むのである。
〈四 日本の美〉
日本の算書には絵入りのものもずいぶんあった。最も早く作られた一つである『塵劫記』のごときも大きな絵を入れたものであった。『塵劫記』の図には色刷も試みられ、日本の色刷版画の先駆をなしたというのは、日本の数学書は芸術史上においても馬鹿にできないのである。