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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页

青空文庫

十三 西洋数学の影響(続き)

漢字の流行が和算家の代数記号使用上に大いなる便宜を与えたことは認めないわけにはゆかない。

点竄術といえば和算上では極めて重要なものであるが、その起原についてもその真義についても実ははなはだ不明である。しかし大体において記号を使用し筆算式に代数学をやってゆく仕方であると見て差し支えなかろう。かく解き〔し〕得るものならば、点竄術の代数紀法は演段術に使用されたものから起こったのである。かく日本の代数記号は支那数学の系統を引いたもので、単に文字だけを使用せず、必ず縦に一線を引いてその右方に文字を記す風があったのは、算木の算法を標準に取ったからであって、方程式の書き方なども始終支那で行われた通りの形式を改めなかった。日本では西洋のように筆算式の算術も起こらず、数字はすべてアラビア数字に拠ることをしなかった。

しかし支那では算木使用の代数学は立派な発達を遂げ、かつその演算を記載する仕方もできたにかかわらず、一歩進んで筆算式に改めて盛んに運用することは支那ではついに発達しなかったのに、日本でばかりその改造及び流行を見たのであった。

十三 西洋数学の影響(続き)

前章説くところのごとく、日本数学の根幹は西洋の影響でできたものでないと思われるけれども、西洋数学の知識が全く入り来らぬわけにはゆかなかった。