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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
きっと少年達から受けた親切な介抱のお礼のつもりなのでしょう。
そして、その夕方、このかわいそうなイギリス人は、言うだけのことを言って安心したのか、せまって来る夕闇の中で、ともしびの消えるように息をひきとってしまいました。奇妙な黄金の腕環が、少年達へのかたみとなったわけです。
たった五六日の間のお友達ではありましたが、少年達は、気の毒な外国人の小父さんの死を、心からいたまないではいられませんでした。
その晩は、お通夜のつもりで、ヘンリーの死体の上にシーツの白布をかけ、森の中から探して来た草花を、その枕もとに供えて、少年達は、例の椰子の油のともしびをかこみ、何かとなき人のことを語り合うのでした。
翌日は朝早くから、森に出かけて、手ごろの木を切り、ヘンリーがその友達のためにこしらえてやったのと同じ十字架を、少年達の手で造って、ヘンリーの死体をうずめた土の上に立てました。淋しい山上湖の岸べに、二つの十字架が立ちならんだのです。そして、ヘンリーとアントニーとは、その下で、仲よく眠っているのです。
そうしてヘンリーのお葬式をすませてしまいますと、三人の少年は、岩山の裾の日陰に車座になって、目の前の気味悪いほど静かな青々とした湖水を眺めながら、これからのことを相談するのでした。