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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

一郎君はすぐさま銃をとって、その水鳥に狙をさだめ、ドンと発砲しました。

「しめた。さあ、ポパイ、あれをとって来るんだ」

見事に命中したのです。一郎君は出発してから、もう三羽も水鳥を撃ちとっています。これが四番目の最も立派なえものでした。

ポパイは主人のいいつけを待つまでもなく、もう水中に飛びこんでいました。そして、少年たちの賑やかな声援をうしろに、グイグイと水鳥に向かって泳いで行きます。

やがて、泳ぎつくと、まだはばたいている水鳥に、サッと飛びかかって、しばらく水煙をあげてもつれあっていましたが、やがてグッタリとなったえものを、口にくわえ、筏の方に向きかえて、得意そうに泳ぎはじめました。

「すてき、すてき、ポパイえらいぞ」

少年たちは手をうって、はやし立てましたが、その時です。実に何ともいえない奇妙なことが起りました。

「オヤ、どうしたんだろう。ポパイ、ポパイ、早く泳がないか。何をぐずぐずしているんだ」

保君がさけびました。

しかし、ポパイは決してぐずぐずしていたわけではありません。一生懸命にこちらへ泳いでいたのです。でも、少しも進めないのです。進めないどころか、グングンあとずさりをして行くように見えます。