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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
たらふくお酒を飲んだ上、夜になって、出帆してからも、船の中で又酒もりをはじめるというさわぎでした。
そんなわけで、三人の少年は、船が港を出るか出ないに、もう監禁の小部屋から引出され、酒もりのお給仕などさせられました。
ところが、そうしていそがしくはたらいている中に、三人の中の一郎君の姿が、どこかへ見えなくなりましたので、あとの二人の少年は、どうしたのかと心配していますと、やがて、一郎君がどこかから帰って来て、向こうの入口から、そっと二人を手まねきするのです。
酒もりの真最中で、みな夢中になって飲んだり歌ったりしているのですから、誰も気がつく者はありません。少年たちは料理場へ行くような顔をして、コッソリ部屋をぬけ出しました。
「一郎君、どうしたの? 君の顔まっ青だよ」
せまい通路を、甲板へののぼり口まで来た時、前田保君が、そっとたずねました。
「君たち、決心したまえ。逃げるなら今だよ」
一郎君は二人の手をにぎって、はげしい息づかいで言いました。
「エ、逃げるって?」
「ウン、逃げるんだよ。僕は今甲板へ上って見て来たんだけどね。甲板には舵手一人っきりしかいないんだ。