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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

(美人!)

と、迷わずに云い切れる程な――それは十人並み以上の娘だった。

寧子と書いて、ねねと訓む。その可憐な名も、この娘の人がらにふさわしかった。小さく整った容貌に、ぱちりと、聡明らしい眸を静かに持っている。

又右衛門は、藤吉郎を誘って、その明眸の持主の前へ連れて来た。

「寧子」

「はい」

「こちらは、木下藤吉郎どのというて、この度、御台所御用人から、お厩衆へご登庸になったお方だ。お見知りおきを願っておくがよい」

「……はい。あの」

寧子は、顔を染めて、

「木下様には、初めてではございませぬ」

「何。知っておる……?」

「ええ」

「いつ、どこで」

「お手紙をいただきましたり、また、お贈物をいただいたりして」

又右衛門は、仰山に驚いた顔をして、

「これは怪しからぬ。手紙などを遣り取りいたしておったのか」

「わたくしからは、差し上げたことはございませんが」

「それにせよ、父のわしへ、黙っておるなど、不埒な沙汰じゃ」

「いいえ、お母様には、いちいち申し上げてございます。お母様は、度々のお贈物などは、かたくお断りいたしていらっしゃいますが、お節句の、正月のという度に、木下様からは、よく頂戴物をいたします。