轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页
と六郎兵衛は答えた。それはわかっている、と内膳が云った。
「それは承知しているが、いちおう御用のおもむきをうかがうのが、用人としての私の役目ですから」
六郎兵衛は相手を見、それから冷やかに云った。
「いち言で申せば、一ノ関侯の御首にかかわることです」
内膳は口をつぐみ、やがて、静かな声で云った、「それは一大事ですな」
六郎兵衛は黙っていた。
「しかし、ただそれだけではあまりに唐突で、取次ぎの申しように困ります、もう少し詳しいことをうかがえませんか」
「これでいけなければ帰るだけです」と六郎兵衛が云った。内膳はしばらく黙っていたが、六郎兵衛が承知しないとみたのだろう、「しばらく」と云って立っていった。
こんどもまた待たされた。
そして四半刻ほどして、四十五六になる小柄な、逞しい躯つきの侍が出て来、「家老の新妻隼人である」となのった。
六郎兵衛は、無遠慮に、相手を眺めた。
新妻隼人も平静な眼で、六郎兵衛を見返していた。彼がなのったのに対して、六郎兵衛は目礼はしたが、なにも云わなかった。隼人がまた云った。
「用向きを聞きましょう」
「わかりの悪い人たちだな」と六郎兵衛が云った、「同じことをなんど云わせればいいんだ」