轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
01 第一部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页
「かれらは賢いからな」と甲斐は云った、「工費の嵩むほど幕府はよろこぶだろうし、人足どもはそれをよく知っている。こちらの負けとわかっていることに肚は立てぬものだ」
そして甲斐は、非番の日に朝粥をたべに来い、と云って、そこを去った。
雨は三日つづけて降った。そして雨のあがった午後、綱宗に伺候するため、甲斐は品川の下屋敷へいった。
綱宗は酒を飲んでいるということで、下屋敷の家老、大町備前(定頼)は、甲斐の伺候を拒もうとした。公儀から逼塞を命ぜられているので、現職の老臣が会うことは、違法に問われはしないか、というのであった。
甲斐はおだやかに頷き、ごくさりげない調子で、亀千代君に家督のゆるしが下り、将軍の墨印まで受領したのだから、綱宗侯は「隠居」ということになった筈である。改めて沙汰はなくとも「逼塞」は解かれたとみてよいと思うが、と云った。
すると備前は話しを変えた。綱宗がいま酒を飲んでいること、このごろは酔うと狂暴になる癖があるから、酔っていないときに会われたらどうか、と云った。甲斐はやはりさからわずに、酒はたびたび飲まれますか、と訊いた。殆んど連日連夜です、と備前が答えた。