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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
からである。
一般の生徒の中には、委員会の腑甲斐なさを真剣になって怒っているものもあった。血書の効果を一種の好奇心をもって期待していたのが、駄目だと知って緊張感を失い、急にだらけた気分になったものもあった。また中には、問題がどう片づこうと、そんなことには大した興味を持たず、ともかくもこの騒ぎで、学校や先生を馬鹿にしてもいい時節が到来したような気になり、むやみとふざけたまねをするものもあった。
こうしたいろいろの種類の生徒たちの間に、共通の話題になったのは次郎のことであった。
「本田は軟化した。自分で血書を書いておきながら、県庁で父兄会があってからは、一所懸命でみんなをなだめにかかったそうだ。」
そういう噂が誰いうともなく下級生の間にまで伝わって来た。それだけならまだよかった。
「本田には恋人がある。彼が血書を書いたのも、その恋人に自分の勇気のあるところを見せたかったからだそうだ。」
「その恋人というのが気の弱い女で、この頃では本田が退学されそうだというので、悲観しているらしい。本田が軟化したのもそのためだそうだ。」
「いや、そんなはずはない。その女は本田の親類だが、いつも本田の顔を見るのもきらいだと言っているそうだから、本田が退学されたって悲観するはずがない。