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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
そして、屋根うらの一点にじっと眼をすえながら、ひとりごとのように言った。
「僕、もう、学校なんかどうだっていいや。」
恭一は深いため息をつき、道江はそっと涙をふいた。俊三は、次郎が興奮して話しているうちは、いかにも痛快だといった顔をしてきいていたが、最後には、やはり心配そうにみんなの顔を見まわした。大沢は、最初から最後まで、膝のうえに頬杖をつき、眼をつぶって、「うん、うん」と合槌をうっていた。しかし、次郎がねころんで、すてばちなようなことを言うと、何と思ったか、急にのっそり立ちあがり、默って階下におりて行ってしまった。
大沢の足音がきこえなくなるまで、沈默がつづいた。誰も、大沢が何で階下におりて行ったのかをあやしんでいる様子はなかった。
「学校よして、どうするの?」
俊三がしばらくしてたずねた。
「これから考えるさ。」
次郎はねころんだまま気のない返事をした。だが、急に何か思いついたように、むっくり起きあがり、恭一に向かってたずねた。
「父さんは、きょう、朝倉先生を見おくったあとで、僕のこと何とも言っていなかった?」
「何にも言わないよ。」
「朝倉先生は、僕に万一のことがあったら、すぐしらせるようにって、駅で父さんに仰しゃったっていうじゃないか。