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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
」
「話したさ。それを話さなくちゃ、先生のお考えがわからないんだから。」
「先生のお考えなら、話さなくてもわかりきっているとは思わなかったのか。」
平尾は行きづまって、その狸のような口をいやに固く結んだ。
「平尾君!」
と、梅本は、いつも弁論会の時にやるように、こぶしで自分の前の机を一つたたいて、
「君は、きょうはこの会議の座長たる資格はない! 田上君と代りたまえ。」
みんなの視線が一せいに梅本に集まった。平尾もさすがにきっとなって、
「座長たる資格がない? それはどういう理由だ。」
「われわれは、先生を侮辱した人間を座長にして、先生のことを相談することは出来ないんだ。」
「僕が先生を侮辱したって?」
「侮辱したんだろう。自分でそれがわからんのか。」
「わからんよ。僕はそんなことを言われるのは全く意外だね。」
「平尾君!」
と、もう一度梅本は叫んで、つっ立ちあがった。そのひょうしに今までかけていた腰掛が大きな音を立てて、うしろにひっくりかえった。色の黒い美少年の眼は、らんらんと輝いている。
「君が朝倉先生をおたずねしたのは、先生のお気持をたしかめるためだったんじゃないか。