轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

それにしても、血書を書いたのはいったい誰だろう、ということが、帰途についた彼らのほとんどすべての話題になったが、次郎本人と馬田と大山のほかには、むろん誰にも見当がつかなかった。次郎は出来るだけそれを秘密にして置きたかったし、馬田は次郎を英雄にするのがいやだったし、大山は新賀がわざわざ秘密にしたものを物識り顔にしゃべりちらすほど、うすっぺらな男でもなかったので、彼らと道づれをしたものも、それについてたしかな根拠のある話は何もきくことが出来なかった。そして次郎に道づれがなくなり、めいめいが自分の家に帰りつくころには、彼らの多くは、主の知れない血書のことよりか、自分自身が血判をした瞬間のことを、より鮮明に思いおこしていたのである。

次郎は、家に帰りついた時には、いつになくつかれていた。昨日来のつづけざまの緊張が急にゆるんだせいか、変に淋しい気持にさえなっていた。彼は何も考えないで、すぐひるねをしたいと思った。しかし一方では、父の顔が見たかった。きょうの学校での出来事について、父と話がしてみたかった。で、いったん二階にあがって畳の上にねころんではみたが、すぐまた起きあがって畑に出た。