轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
「日本評論 第十四巻第一号~三号」1939(昭和14)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 页
五
暗いみ灯の光りの代りに、其頃は、もう東白みの明りが、部屋の内の物の形を、朧ろげに顕しはじめて居た。
我が説明を、お聞きわけられませ。神代の昔びと、天若日子。天若日子こそは、天の神々に弓引いた罪ある神。其すら、其後、人の世になっても、氏貴い家々の娘御の閨の戸までも、忍びよると申しまする。世に言う「天若みこ」と言うのが、其でおざります。
天若みこ。物語りにも、うき世語りにも申します。お聞き及びかえ。
姥は暫らく口を閉じた。そうして言い出した声は、顔にも、年にも似ず、一段、はなやいで聞えた。
「もゝつたふ」の歌、残された飛鳥の宮の執心びと、世々の藤原の一の媛に祟る天若みこも、顔清く、声心惹く天若みこのやはり、一人でおざりまする。
お心つけられませ。物語りも早、これまで。
其まま石のように、老女はじっとして居る。冷えた夜も、朝影を感じる頃になると、幾らか温みがさして来る。
万法蔵院は、村からは遠く、山によって立って居た。暁早い鶏の声も、聞えぬ。もう梢を離れるらしい塒鳥が、近い端山の木群で、羽振きの音を立て初めている。
五
おれは活きた。
闇い空間は、明りのようなものを漂していた。