轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
「日本評論 第十四巻第一号~三号」1939(昭和14)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 页
十八
郎女は尊さに、目の低れて来る思いがした。だが、此時を過してはと思う一心で、御姿から、目をそらさなかった。
あて人を讃えるものと、思いこんだあの詞が、又心から迸り出た。
なも 阿弥陀ほとけ。あなとうと 阿弥陀ほとけ。
瞬間に明りが薄れて行って、まのあたりに見える雲も、雲の上の尊者の姿も、ほのぼのと暗くなり、段々に高く、又高く上って行く。姫が、目送する間もない程であった。忽、二上山の山の端に溶け入るように消えて、まっくらな空ばかりの、たなびく夜に、なって居た。
あっし あっし。
足を蹈み、前を駆う声が、耳もとまで近づいて来ていた。
十八
当麻の邑は、此頃、一本の草、一塊の石すら、光りを持つほど、賑い充ちて居る。
当麻真人家の氏神当麻彦の社へ、祭り時に外れた昨今、急に、氏上の拝礼があった。故上総守老真人以来、暫らく絶えて居たことである。
其上、もうに二三日に迫った八月の朔日には、奈良の宮から、勅使が来向われる筈になって居た。当麻氏から出られた大夫人のお生み申された宮の御代に、あらたまることになったからである。廬堂の中は、前よりは更に狭くなって居た。郎女が、奈良の御館からとり寄せた高機を、設てたからである。