轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
「日本評論 第十四巻第一号~三号」1939(昭和14)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,340 字 · 126 页
二
すっぱだかで出て来た赤ん坊になりたいぞ。赤ん坊だ。おれは。こんなに、寝床の上を這いずり廻っているのが、だれにも訣らぬのか。こんなに、手足をばたばたやっているおれの、見える奴が居ぬのか。
その唸き声のとおり、彼の人の骸は、まるでだだをこねる赤子のように、足もあががに、身あがきをば、くり返して居る。明りのささなかった墓穴の中が、時を経て、薄い氷の膜ほど透けてきて、物のたたずまいを、幾分朧ろに、見わけることが出来るようになって来た。どこからか、月光とも思える薄あかりが、さし入って来たのである。
どうしよう。どうしよう。おれは。――大刀までこんなに、錆びついてしまった……。
二
月は、依然として照って居た。山が高いので、光りにあたるものが少かった。山を照し、谷を輝かして、剰る光りは、又空に跳ね返って、残る隈々までも、鮮やかにうつし出した。
足もとには、沢山の峰があった。黒ずんで見える峰々が、入りくみ、絡みあって、深々と畝っている。其が見えたり隠れたりするのは、この夜更けになって、俄かに出て来た霞の所為だ。其が又、此冴えざえとした月夜をほっとりと、暖かく感じさせて居る。