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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
「いと易いこと!」
と右内は応じた。
「拙者と連れ立ちおいでなされ、お逢い出来るでござりましょう。……が、その代り萩丸様は……」
「民弥様にさえ逢えましたら、萩丸様などどうでもよいので、そなたへお渡しいたしますとも」
「忝けのうござる、しからば拙者へ……」
「いえいえ」
と不意に梶子は云った。
「民弥様のお手へ渡しましょうよ」
「…………」
「あの人の功にしましょうよ」
(ハハン)
と右内は苦笑して思った。
(この女松浦氏に恋しているな)
「さようか」
と右内はこだわろうともせず、
「松浦氏は我々の同志、それへお渡しくだされましても、我々にとっては同じこと、しからばそのようにしていただきましょうぞ。……さあしからば戦場へ!」
「参りましょう」
と馬首を揃え、二人は一散に走り出したが、その時戦声烈しくなり、鉄砲の音も高くなり、忽ち行手から算を乱し、大勢の人影が走って来た。
衆寡敵せず青塚勢が、連合軍に追い立てられ、逃げ走って来たのであった。
殿となった松浦民弥、数人を斬った血刀を揮り、返り血かそれとも負傷した血か、全身に血汐を浴びながら、追い縋る敵を斬り払い斬り払い、一方味方を盛り返すべく、