轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
やがて夕陽が樅や櫟の、喬木類の梢を染め、ところどころにある古沼の面を、銅色に色づける時刻となった。
その時彼女はまた行手に、大勢の人の話し声を聞いた。
あまり人数が大勢らしいので、菊女には審かしく思われた。
で、かえって大胆になり、そっちへ忍んで行って見た。
百人にもあまる武士たちが、焚火を焚いたり割籠をたべたり、武器の手入れなどをやりながら、
「明暦義党……」
とか、
「萩丸様……」
とか、
「今夜夜討ちして……」
とか、
「今度こそ遁がさぬ……」
とか、そんな言葉を云い合っているのが、断片的に聞こえて来た。
よく見ればその中に紀州の藩士の、霜降小平や加藤源兵衛の姿が、夕陽に照されているのが見えた。
「まあ!」
と菊女は思わず云い、飛び上がるほどに驚いた。
(どうして、何んのために、紀州藩士たちが、こんな島などへ来たのだろう?)
なお菊女は耳を澄ました。
藩士たちは大声で話していた。
「彼奴ら上村の奥の林の中に、小屋がけしているということじゃ」
「開墾して永住する考えだとか」
「地獄へやられるのも知らないでな」
「アッハッハッ可哀そうな奴だ」
「鵜の丸兵庫も佐原嘉門も、今度こそ洩らさず討って取らねばならぬよ」