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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
……それには是非とも頼宣卿を、何かの名目でこの島へ渡らせ、ご見物をしていただかねばならぬ』」と。
「なるほど」
と兵庫は考え深そうに云った。
「防備の話はともかくとして、お蔵に対して伊豆守が『とにかくここは恐ろしいところだ。人のはいるべき所ではない。また、人を入れてはいけない』とこのように云ったというその言葉の意味、いったい何なのでござろうな?」
「二通りの解釈がござります。……その一つはそのお蔵に、伊豆守さえ驚いたほどの、大財宝が隠されてあったので、そう伊豆守が云ったという解釈……」
「もしそうであればその大財宝は、その後伊豆守の手によって、取り去られたものと解さねばならぬ」
「で、もう一つの解釈というのは?」
「洞窟内には迷路ともいうべき、ほとんど無数の小路があって、うかうか奥深くはいりましたが最後、ふたたび外へは出られません」
「なるほど、しかし、記号でもして、みちしるべを致してはいったなら。……」
「さようで、それが必要なので、で拙者もその洞窟の中へ、軍用金を隠匿いたそうと、奥深くはいって行きました際には、みちしるべ致しましてござりますよ。……ところが……」