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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
「それは当方より申すこと、敵の伏勢がおりまして、我々の手を攻撃した際、貴殿がご加勢くだされたら、一挙に伏勢を追い散らし、その勢いにて敵の本陣へ、肉迫すること出来ましたのに、その際貴殿安閑としておられた。これ唯一の敗因でござる!」
「何を云われる!」
と源兵衛も怒り、
「浪人や土百姓の伏勢なんど、一蹴して行くが当然でござるに、それをウロウロ狼狽して……」
「黙れ!」
と小平は刀の柄へ、グッとばかりに手をかけた。
「云わせて置けば無礼千万! ウロウロの狼狽のと、何を云われる不届き至極! 朋輩とて用捨いたさぬ! うろたえ者の刀の切れ味、見せてやろう、サア立ち合え!」
「ナニ斬るとな、拙者を斬るとな、こりゃ面白い斬られよう、何んの何んの貴殿如きに! ……」
源兵衛も刀の柄を握り、ソリを打たせて進み出た。
「まあまあご両所……」
「それは乱暴……」
「同士討ちは困る……」
「静かに静かに!」
と、爾余の武士たちは胆をつぶし、口々に云って二人を止めた。
止められて二人は刀は抜かなかったが、
「拙者はもはや加藤氏とは、今後行動を一緒にはいたさぬ。拙者は船へ引っ返し、明朝を待って彼奴らを攻める」