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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页

青空文庫

「さがしましょう! 大丈夫だ! 風が来る以上風穴はある! ……それをさがして、それをさがして!」

二人はそれをさがし出した。

「風は石棺から来るようです!」

いぶかしそうに梶子は叫んだ。

「たしかに石棺から来るのです! ……」

「そうですそうです!」

と民弥も叫んだ。

「石棺のどこかから来るようだ! ……この石棺にとりついてさえいれば、息が楽になるのだから!」

「でもどうして石棺なんかから? ……どうでもいい! どうでもいい! ……石棺に一生懸命縋っていましょう!」

「そうですそうです、縋っていましょう」

二人は石棺に無二無三に縋った。

と、二人の躰の力で、石棺の蓋の錠が砕け、強いバネが刎ねたらしく、蓋は猛烈に刎ね返り、二人は床に投げ出された。

と同時にド――ッとばかり、潮気を含んだすがすがしい風が、石棺の口から吹き上がった。

「民弥様アーッ、風が風が!」

「おおおおおお! 風が吹き込んで来た! もう大丈夫だ! 助かった! ……でもどうして石棺の中から風が!」

「わかりますわかりますわたしにはわかります! ……これはよくあるカラクリなのです。……石棺の形にこしらえた、これは立派な抜け穴なのです」