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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 页
虫部屋
「女の身にして菊女殿は、難役をお引き受けなされました。なろうことならそのような難役、幸いにお勤めなされぬ先に、拙者において萩丸殿を説きつけ、宥免状を認めさせたいもので。……ついては拙者萩丸殿を、虫部屋に入れて一種の拷問、――拷問をして是が非であろうと、宥免状書かせるよう致すでござろう」
「おおそれでは貴殿において、萩丸殿を虫部屋に入れる役目、お引き受けくださると仰せられるか」
喜ばしそうに兵庫は云った。
「さよう拙者お引き受け致す」
云いすてると民弥は刀を提げ、襖をあけて外へ出た。
この頃萩丸はこの屋敷の一画、裏庭に建ててある別棟の家の、奥の一室に監禁されていた。
(俺はどうなることだろう?)
不安と怒りとを顔に現わし、黙然と座敷に坐っていた。
虫部屋
娘を尾行けて浅草から、この屋敷へまでやって来た。と、娘はこの家へはいった。そこで自分もこの家へはいった。すると外から戸をとざされ、自分はこの家へ監禁され、娘はそれ以来姿を見せない。――というのが萩丸にとっての、この数日間の出来事であった。
もっともその間に入りかわり立ちかわり、いろいろの男がはいって来て、