轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
――放浪の末、段ボールを思いつく
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,380 字 · 69 页
だがこの仕事はかげひとつない炎天の河原で一日中立っていなければならない。なれないことでもあり、精神、肉体の両方から襲ってくる疲労で、私は日射病にかかって寝込んでしまった。とうてい土木のような激しい仕事は向かないとあきらめ、体が回復するのを待ってふらりとここも抜け出したのである。
数時間あてもなく、うろついているうちに、私は龍山の度司部(造幣局)のあたりまできていた。みるとアン巻きを朝鮮人に売っている鼻の欠けた日本人らしい男がいる。私は近づいて声をかけた。聞けば男の生まれは新潟県だという。異郷の果てに落魄の身の二人である。話合ううちに、しみじみとお互いに心のふれ合うものがあった。
『行くところがなければ、私のところへいらっしゃい』男はそういってくれる。まっ赤な大きな夕日が西の山の端に傾くころ、アン巻きの道具を背負った男とふろ敷包みを下げた私は、広い京城街道をとぼとぼと歩き出した。
こうしてアン巻き屋の男に連れていかれたのは、加藤清正が朝鮮出兵のときに建立したといわれる「蝋石の塔」の近くだった。彼の住んでいる家は最下級の人が住んでいる低い倉庫のような建物の一室である。