轻松读懂日语经典作品
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わらうあくま
笑う悪魔
野村 胡堂
「ロック」筑波書林、1948(昭和23)年12月~1949(昭和24)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,687 字 · 55 页
「えッ? ?」
花房一郎は相手の表情などに構わず、自分の考を語り続けました。
「東京ポストの千種十次郎君が、それ位のことに気がつかない筈は無い、――美保子さんの言葉と実際とは矛盾だらけで、どう同情しても信じられないのだよ、あの純情な処女が、花の唇から白々しい嘘を言うとは思われないから、これは誰かに脅迫されて、心にも無いことを言ってるか、或は誰かを庇って、宜い加減なことを言って居るかだ」
「そんな馬鹿なことがあるものか」
千種十次郎は少し躍起となりました。
「馬鹿なことではない、――女の子が命がけで言う嘘ほど怖いものは無い、――まア、聴いてくれ、あの晩美保子さんは部屋の入口で刺されたと言ったが、その美保子さんの気を喪って血だらけになった身体は、窓の方に近いところに倒れて居た」
「――――」
「部屋の扉は内から閉って居た――鍵は内から差込んであったから間違いはあるまい、そして美保子さんは曲者は奈々子をさらって、窓から逃げたと言って居る、――あの窓から若い娘とは言っても、兎も角も人間一人を小脇に抱えて、逃出せるものだろうか。庭の雪の上には足跡は無かったし、窓から三四間離れて居る土蔵の窓へ、綱を渡せば行けないことはないが、これはサーカス的芸当だ、若い女を抱くか引っ担ぐかしては、人間業で行ける道理はない」