轻松读懂日语经典作品
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こうばいつきげ
紅梅月毛
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社 、1944(昭和19)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,869 字 · 32 页
……誰にも異存はなかった、そこですぐ近習番の者が用意してあった筆紙を運び、十六人はそれぞれ順に札を入れた。すっかり済んで札が集ると、忠勝が自分でそれを読みあげた。「……深谷半之丞」まずはじめが半之丞だった、次ぎもそうだし三枚めもおなじだった。忠勝は苦笑しながら「だいぶ半之丞に人気があるな」そう云って読みつづけた。ところが松野権九郎に一枚はいったきりで、あとの十五枚はみんな半之丞だった。「ほう」みんな自分で入れながらやっぱりそうかと思った。忠勝も予想はしていながらそれほど気が揃おうとは考えなかったのでちょっと眼を瞠った。権九郎ひとりはなにやら腑におちぬようすで、「わたくしのは一枚きりでございますか」と首を傾げながら訊いた。「そうだ、なにか不審があるのか」「いや、不審ということはございませんが」そう云いながらなにか未練のありそうな眼つきをしているので「三枚や五枚あっても深谷とは勝負にはならんぞ」と云う者があり、みんなくすくす笑いだした。「……さて半之丞」忠勝はかたちを改めて云った、「これで馬競べに出るのはそのほうときまった、桑名一藩の名代ともいうべき役目だ、まだ時日はあるから充分に稽古をして置くがよい、それからもし家中の馬で気にいったものがあったら、誰の持馬でも遠慮なく乗ってよいぞ、その旨はすでに老職へ申し