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やぶのうぐいす

藪の鶯

三宅 花圃

「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页

青空文庫

第十二回

そうさネエ。

宮「そう冷淡なのがお気に入った証拠だ。どうです伯楽になっては。

篠「どうして向うの気位が高いから。

「ナアニ願ったりかなったりです」と出しぬけにいわれてふりかえれば。滝の川帰りの商人二人。

「それじゃア扇屋としましょう。

宮崎は打ち笑い。

「ナンダ夕飯の相談か。しかし末広の扇屋とはうれしかろう。エ篠原君は……。

第十二回

所は芝の公園地。小高き岡に結構せし紅葉館と聞えしは。貴顕富豪宴游の筵を開くそのためには。この東京に二とは下らぬ。普請の好み料理の手ぎわは一きわなるに。今日は祝いの席とて。四時過ぎころより入り来る馬車人力車は。さすがに広き玄関前もところせきまでつらなりたり。こは篠原子爵が宮崎一郎の媒にて。松島秀子と新婚の祝宴を開くなり。故子爵が世にあらば鹿鳴館などにて西洋風の饗応をひらかるべきなれど。勤には養母が好まぬと。秀子がいまだ洋風の交際になれざるのみか。親戚朋友の内には。いまだテイブルのまわりにたかりて。立ちながらの飲食いよりも。吸物膳に坐りたるをうれしとする人多かれば。わざと世におくれてここに筵を開きしなり。

宮崎一郎「お前様誠におめでとうござります。