轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
むし
虫
江戸川 乱歩
一~四「改造 第十一卷第六號 六月號」改造社、1929(昭和4)年6月1日<br>五~十二「改造 第十一卷第七號 七月號」改造社、1929(昭和4)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,053 字 · 86 页
どんな賑やかな大通りをも、雑踏をも、全く無関心な気持で、隠れ簑を着た仙人の様に、通行することが出来る。僕みたいな男にとっては、何と理想的な散歩法ではあるまいか。僕は今、子供の様に、乙種運転手免状が下附される日を、待ちこがれているのだよ」
柾木はこんな意味の手紙を、池内光太郎に書いた。それは彼の犯罪準備行為を、態と大胆に曝露して、相手を油断させ、相手に疑を抱かせまいとする、捨身の計略であった。この場合、大胆に曝露することが、徒らに隠蔽するよりも、却って安全であることを、彼はよく知っていたのだ。無論その時分にも、一方では例の七日に一度位の、尾行と立聞きを続けていたので、彼はその手紙を受取ってからの、池内の挙動に注意したが、彼が柾木の奇行を笑う外に、何の疑う所もなかったことは、いうまでもない。
随分金も使ったけれども、僅か二月程の練習で、彼は首尾よく乙種運転手の免状を手に入れることが出来た。同時に、彼は自動車学校の世話で、箱型フォードの中古品を買入れた。やくざなフォードを選んだのは、費用を省く意味もあったが、当時東京市中の賃自動車には、過半フォードが使用されていたので、その中に立混って、目立たぬという点が、主たる理由であった。