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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
緊迫した空気の中にも、相変らず洒落のめさずにはいられない二人です。
「それから親分、どうしました」
「もう一つ面白いことがわかった。斑組の六人男は、二の腕に賽ころを彫っているということだ、目の数は一(ピン)から六まで――多分一か六が首領だろう。近江屋半兵衛の腕に彫った入墨は六だった、斑組の中では多分良い顔だろう」
「二の腕の入墨なら、江戸中の湯屋に触れをまわせば、直ぐわかりゃしませんか」
「そいつは思いつきだが、だれでも気のつくことを、斑組の悪者だけ気がつかずにいるはずはない。それより、差当り腕守りを外さずに湯に入る奴はないか――一年も半歳も、町のフロへ行かない奴はないか――そんなことを調べる方が近道だろうよ」
「江戸中で、湯の嫌いな野郎は何千人あるかわかりませんが、その不精な人間をみんな調べ上げるんですか親分」
八五郎は酢ッぱい顔をするのです。かく申すガラッ八も、たいした湯の好きな肌合いらしくはありません。
「馬鹿だなア、江戸は広いやな。一々湯好きと湯嫌いを調べ上げられるものか。それに大店ではみんな内湯を立てているし、お目見得以上の武家は、銭湯へは行かないことになっているんだ」