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たましいのあえぎ
魂の喘ぎ
大倉 燁子
「宝石 二巻一〇号」1947(昭和22)年11月、12月合併号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,081 字 · 20 页
もしそこに公高がいたなら私は彼に飛びかかって首をしめつけたでしょう。
私は両手で顔を覆うて突伏して泣きました。長い間泣きつづけました、この恐しい打撃にもう起ち上る気力もなかったのです。
何故私がこんなに絶望したか、それには理由があるのです。実は私に一人の弟がいました、それは恐らく世間では知らないでしょう。生れると直ぐ他家の籍に入ったのですから――、その弟が公高のように才はじけた頭のいい美しい少年でしたが、年頃になると不良仲間に入り隼の正という名までつけられ、その上、手癖が悪るく箸にも棒にもかからなかったが、喧嘩で大怪我をしたのが原因で死にました。その時悲しむはずの肉身達はほっと安心し、最初で最後の親孝行だと父は喜びました。不良性は私の血統にあるらしく、父の兄、私の伯父も大変者だったと申します。
それが頭にあるので私は一途に逆上してしまったのです。まだ年少の事だから教育次第で善道に導く事も出来ようにと仰しゃるかも知れないが、それは私へのお世辞、あるいは同情の言葉です。公高はもう真人間に立ちかえるとはいくら母の慾目でも思われません。あまりにも巧妙過ぎる、先天的の不良だからです。