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たましいのあえぎ

魂の喘ぎ

大倉 燁子

「宝石 二巻一〇号」1947(昭和22)年11月、12月合併号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,081 字 · 20 页

青空文庫

3

そしてそこに一連の遺書が入っているのを見たのです。それによって始めて夫人の死の原因を知る事を得ました。ここにあるこれが即ち遺書でございます」

紫縮緬の袱紗に包んだ部厚な封筒を公正は高く捧げて一同に見せた。

「さて、私はこれからこの遺書を読み上げますから、お聞き下さるように願います」

3

「私は二十四の年に藤原家の人となってから十四年になります。夢を懐いて妻となった私、世間知らずの私は楽しい娘時代から一足飛びに現実の苦悶の世界に入ったのです。結婚後数日にして私は已に後悔していました。この結婚に不賛成だった藤原家の人々は私の落度を見つけてそれを口実に夫との間を割き、何とかして別れさせようと、あることないこといろいろと夫へ讒訴したので、二人の間にひびが入り、それがいつか大きな溝になって面白くない日を送るようになり、私の地位も次第に足許から崩れかけて来た、その翌年公高を生みました。

家柄のない事はこういう社会の人の目には一つの罪悪のようにでも映るのでしょうか、平民なんかに教育されてはどんな者になるか分らないというので、公高は生れると直ぐ私から引き離され、祖父母の溺愛の中で我まま一杯に六つまで育てられ、戻った時は手のつけられないやんちゃになっていました。