轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

吉川英治『鳴門秘帖(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鳴門秘帖、鳴門秘帖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 页

青空文庫

隠れ家

何かこう、ひとりでに、頭へピーンと来ることに、今まであんまり間違ったことはねえんです……。おッと、いけねえ。また目明し根性が出やがった。旦那、今のは冗談ですぜ」

いつか、二人の降りてきた道は、風の騒がしい竹林をうねっていて、草鞋の裏から、やわらかな朽葉の湿ッぽさがジメジメと感じてくる。

そして、あたりの夜露に、どこからともなく淡い明りがさしていた。見ると、竹むらのすぐ向うに一宇の堂。そこから洩れる燈火である。

「万吉、ちょッと道を訊ねてみろ」

「あ、誰かいるようだな」と、青苔のついた敷石を五、六歩入って、目明し万吉、何の気なしに時雨堂を覗きこんだ。

隠れ家

道をたずねるつもりで、木槿の垣越しに、ふと時雨堂の庭先を覗いた万吉は、そこに何を見たものか、オヤと眼色を動かせて、口まで出そうになった声をのみ殺したが、とうとうそのまま、何も問わずに忍び足で戻ってきてしまった。

「どうしたのじゃ?」

咎めるように進んできたのは、暗闇に待っていた俵一八郎である。万吉は、しッという眼くばせをして、ふたたび、時雨堂の奥をうかがいながら、人さし指を向けて一八郎の耳へささやいた。