轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页
この部屋にはまた、西側の壁に、巨大な黒檀の時計が立ててあった。振子は鈍い重々しい、単調な響を刻んで、左右にゆれていた。その長針が一周りして時をうつ際には、その真鍮の肺臓から、実にほがらかな、高い、しかも極めて音楽的な響が聞えて来た。それが余りに不思議な調子と、力強い音色を持っていたので、廊下の隅に陣取った音楽師達は、一時間毎に、弾奏のさなかであっても、しばし手を休めて、我知らずその音色に聴入る程であった。随ってワルツを踊る人達もやむなく足を止めてそれに聞入る。陽気な舞踏が、突如として不気味な混乱に陥り、時計の鳴り響いている間は、どんなに陽気な人々も、顔色が青ざめ、ある幻想に心乱されるのであった。
「いみじくも考案なさいましたね。伯爵。これはエドガア・ポオの『赤き死の仮面』ではございませんか」
英国大使館一等書記官のB氏が、流暢なフランス語で、伯爵におもねる様に囁いた。
「アア、気がつかれましたか」伯爵は得意の微笑を漏らしながら答えた。「私はいつも変らぬポオの心酔者なのですよ。しかし、この趣向は、少し陰気すぎはしませんでしたか」
成程陰気には相違なかった。