轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おうごんかめん
黄金仮面
江戸川 乱歩
作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页
相手の制服の男が答えた。
「探照燈室の道具箱の中に、君の着換えかなんか入れてなかったかね」
「エエ、私のではありませんが、もう一人の男の制服制帽が這入ってます」
「その男は」
「今日は病気で休んでいるのです」
何だか話が変梃になって来た。
「では、さっき、塔の上から建築事務所へ仕事師を呼びに行ったのは、一体誰だったのだろう。君ではなかったね」
「エエ、私は一度も塔の上へ昇りません」
「アア、ひょっとしたら。……兎も角、あの道具箱を検べて見よう」
探照燈係を引っぱる様に、一警官が塔上へかけ上った。道具箱を開いて見ると、果して、そこにある筈の制服制帽が消えてなくなっている。
果して、果して、大胆不敵の怪賊は、又しても警官隊と群集を小馬鹿にして、彼等の注意力の盲点を巧みに利用し、まさかと思う探照燈係その人に化けて、まんまと重囲を脱出してしまったのだ。黄金仮面の字引には、恐らく「不可能」という文字がないことに相違ない。
直ちに、警官隊、青年団が八方に飛んで、場内を隈なく捜索したが、無論手おくれだ。あの敏捷な怪物が、一時間以上も危険な場内にウロウロしている筈はない。
警官達は、半日以上の大骨折りの末、やっと塔上に追いつめた怪物を、もう一息の所で取逃がした無念さに、足ずりをしてくやしがった。