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おうごんかめん

黄金仮面

江戸川 乱歩

作者――江戸川乱歩氏曰く「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年8月号<br>黄金仮面「キング」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年9月~1931(昭和6)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 143,357 字 · 287 页

青空文庫

形になっているのだ。

四人は看守控室でも、話友達であった。交代の時も一かたまりになって控室を出たが、その少し前に、誰かが四人の所へお茶を持って来て、

「高貴のお方の御顔を拝むんだ、お茶でも呑んで、心を鎮めて」

といいながら、一人ずつ茶碗を配った。

まだ博覧会が始まったばかりで、場慣れのしない四人の者は、殊更らこんな経験は初めてだったので、何となく喉の乾く様な気持がしていた所だ。早速そのお茶を飲みほした。

「オオ、苦い」

少女看守の一人が、思わず呟いた程、お茶は苦かった。

「少し入れすぎたかな」

男は笑いながら、茶碗を集めて向うへ行ってしまった。

間もなく、看守達は館内に這入って、定めの持場についた。陳列台の切れ目切れ目に小さな椅子があって、彼等は愈々御巡覧の時まで、それに腰かけて待っているのだ。それまでにはまだ二十分程間がある。

「静かねえ、何だか気味が悪い様だわ」

一人の少女が、真珠の前の男看守にやっと聞える程の声で云った。誰も答えなかった。男看守も、外の二人の少女も、目を細くして、一つ所を見つめたまま、何か考え込んでいる。

「アーアー、睡くなって来た」