轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あだこ
あだこ
山本 周五郎
「小説倶楽部」1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 页
十兵衛の荒い息が聞えた。かなり強い平手打ちだったが、半三郎は少しも痛いとは感じなかった。十兵衛の荒い呼吸はそのまま怒りの大きさを示すようであったが、これまた半三郎には少しの感動をも与えなかった。
十兵衛は坐って刀を置いた。半三郎は盃を呷って、さしだしたが、十兵衛は眼もくれずに云った。
「どうする気だ」
半三郎は答えなかった。
「おれは昨日帰った、秋田と三枝と安部が来て、三人で夕飯を喰べた」と十兵衛は云った、「そのときすっかり聞いたが、おれはすぐには信じられなかった」
「おれの気持は話してある筈だ」
「それは二年まえのことだ、二年まえ、あのことがあったときに聞いたんだ」と十兵衛は云い返した、「去年おれが国目付を命ぜられて津軽へ立つまえ、二人だけで話した、もういい、このへんできまりをつけてくれ、これ以上はみぐるしいぞとおれは云った、そのとき小林はおれもそう思うと云った、おれもそう思うと云ったことを覚えているぞ」
「いまでも同じだ」と半三郎は高い空を風が渡るような声で云った、「自分がみぐるしくないなんて思ったことはいちどもないよ」
彼はそう答えたのだ。やけでも、自嘲でもなく、自分の気持を正直に述べたのである。