轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あだこ

あだこ

山本 周五郎

「小説倶楽部」1958(昭和33)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 页

青空文庫

六

半三郎はあだこの顔を見て、なにか云いそうにしたが、思い直したように頷いて、好きなようにしろと云った。

――おまえを雇っているのは曽我だ。

半三郎はそう云おうとしたのだ。

――おれは主人ではない、給銀も十兵衛が出しているのだろう、十兵衛に訊くがいい。

だが彼は口ではなにも云わなかった。

あだこはお針の稽古にかよいだした。朝の食事を済ませるとでかけてゆき、午飯を作りに帰って、また夕食のまえまで稽古にゆく。家事のほうも手を抜くようなことはないし、夜は夜で十二時ころまで縫い物をした。はじめのうち半三郎は無関心だったが、彼女の熱心さにだんだんと注意をひかれ、或る夜ふと訊いてみた。

「ずいぶん精をだすじゃないか」

「お針はどんなにうまくなってもこれでいいということはないんですって」とあだこは答えた、「それにわだば、――わたくしこんなに不縹緻ですから、せめてお針ぐらい上手にならなければ、お嫁に貰ってもらえませんわ」

六

半三郎はあだこをまじまじと見た。

「嫁にゆくときは津軽へ帰るのか」

「いいえ、津軽へは帰りません」

「田舎はいやなんだな」

「津軽はいいところですわ、山も野も川もきれいで、あんなにきれいなところはどこにもありませんわ」