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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤垢石『『たぬき汁』以後』。同一底本的分册已合并为一书。收入:泡盛物語、岩魚、烏恵寿毛、越後の闘牛、岡ふぐ談、香熊、熊狩名人、猿ヶ京、支那の狸汁、しゃもじ(杓子)、食指談、純情狸、食べもの、飛沙魚、鯰、入社試験、魔味洗心、老狸伝、わが童心、ミミズ酒と美女。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 页
その、早業。
赤は、両の角を敵の横頸へ立てると、なんの猶予もなく、そのまま電撃の疾さをもって、押し立て押し立て、二百余貫の巨牛を土手の中腹まで押しあげてしまった。その力、その技術。人々は、あっけに取られて、ただ茫然たるのみ。
小形の赤牛、大形の黒牛を、もののみごとに破ったのだ。
牛方が、双方の牛の後脚へ綱をかけた、そして、数人がその綱を握って後ろへ力まかせに引いた。だが、牛はまだ闘いを止めようとはしない。僅かに、角と角とが離れたとき飛鳥の速さをもって若い牛方が二、三人、牛の角へ飛びついた。牛は頭を振った。だが、牛方は角を離さない。
もし、その乱闘の間に角で脾腹でも刺されたら、そのまま牛方は即死だろう。格闘、真に必死の人間と猛牛の闘いだ。牛方の顔面に、男性美が横溢する。
ついに、牛と牛は左右へ遠く分けられた。人々は、陶酔からさめてほっとした。
四
前頭級の牛でさえ、凄絶の角闘である。これが横綱級にまで取り進んだら、どんな猛争をするであろうと、興味は次第に増すばかりである。
十数番、取り進んだとき、竹沢村の彌藤兵衛牛と塩谷村の次郎衛門牛とが顔を合わせた。