轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
こうなったら、泥棒にでもなんでもなってやる、押込みにだってなってやる、みていやあがれと思い、「五桐」の店を出るなり、見かける酒屋へ寄って立ち飲みをした。三軒で冷酒のぐい飲みをし、お蝶のところにさっときりあげたが、「源平」へいってから酔いが出た。
自分では酔いが出たとは、気がつかなかった。勘定日の夕方だから客が混んでいて、その中に一人、重吉の眼を惹く男があった。年は四十五、六だろう、くたびれた印半纒に股引で、すり切れたような麻裏をはいている。顔も躯つきも、痩せて、貧相で、つきだしの摘み物だけを肴に、小さくなって飲んでいた。――
重吉は胸の奥がきりきりとなった。その客はこの店が初めてらしいし、自分が場違いだと悟っているらしく、絶えずおどおどと左右を見ながら、身をすくめるようにして飲んでいた。重吉はその男が自分自身のように思えた。隣りの客に話しかける勇気もなく、小さくなって、一本の酒をさも大事そうになめている恰好は、そのまま、いまの自分を写して見せられるような感じだった。
「おかみさん」と彼はおくにを呼んだ、「奥を借りてもいいか」
「ええどうぞ、そうぞしくってごめんなさい」