轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つばくろ
つばくろ
山本 周五郎
「講談倶楽部 秋の大増刊」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,987 字 · 44 页
思った。
「爺は口がへたでござります、思うようには申上げられません、けれども奥さまのお気性は旦那さまがよく御存じでございましょう、……爺もこの眼で、奥さまの御潔白は拝見してまいりました、旦那さま」松助はぐしょぐしょに濡れた顔でこちらを見あげた、「――坊さまに万一のことがあっては取り返しがつきません、一日でも一夜でもようござります、どうぞ奥さまをお呼び戻し下さりませ、どうぞ奥さまに看病させてあげて下さりませ、一生のお願いでございます」
高雄は暫らく黙っていたが、やがて低い声で、しかしきっぱりと答えた。
「おれたちは苦しんだ、おれも、おいちも、森も、……お互いに苦しんだ、その苦しみをむだにしないようにと思って、ああいう方法をとってみた、……それはまだ終ってはいない、二人の潔白は信じるが、その事にはっきり区切がつくまでは、おいちの戻ることは許せない」
そうしてさらに低く、呟やくように云った。
「そのときが来たら、おれが迎えにゆこう、もし助かったら大助を連れて……猿ヶ谷へ帰っても、これの病気のことは決して云うな、固く申しつけたぞ」
四五日して吉良が来た。はたして雪乃を貰わないかという話しであったが、高雄ははっきり断わった。