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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
そのむこうはまっくらなあなです。これも、ちかしつへおりるひみつのぬけ道なのでしょう。
「ピリピリピリピリ……」
小林しょうねんが、よび子のふえをふきならしました。それをきいて、おまわりさんがかけつけてきました。
「四十めんそうは、このぬけあなからにげたんだ。みんな、ぼくのあとについてきたまえ」
あけちたんていは、そうさけんで、くらいあなの中へとびこんでいきました。小林しょうねんやおまわりさんも、あとにつづきます。
あなの中には下へおりるコンクリートのかいだんがついていました。
それをおりきると、トンネルのようなよこ道があって、むこうが、ぼうっとあかるくなっています。
その光の中を、まっくろな人かげがさっとよこ切りました。
「あっ、あそこにいる。あいつが四十めんそうだ」
あけちたんていと小林しょうねんと、四人のおまわりさんが、おそろしいいきおいでおっかけました。
トンネルをでたところに、ちょっとひろいばしょがあります。四十めんそうは、そこにまちかまえていました。
「ふたりの子どもは、たしかにあずかっている。だが、きみたちには、ぜったいにとりもどせないのだ」