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ふしぎなひと

ふしぎな人

江戸川 乱歩

「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页

青空文庫

明智たんていのぶかが、うたがわしげにいいました。

「ねんのために、しらべてみましょう」

木村さんは、そういって、かぎで金庫を開き、金色のほうせきばこを取り出して、テーブルの上におきました。

「はこはあっても、中のものがなくなっているかもしれません。開いてみます」

木村さんが、ほうせきばこを開くと、その中の黒いビロードのぬのの上に、首かざり・うでわ・指わ・耳かざりなどにちりばめた、ダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルド、そのほか、あらゆるほうせきが、きらきらとかがやいているのでした。

「一つもなくなってはいません。では、元のように、金庫の中におさめます」

木村さんは、ほうせきばこのふたをしめ、それを金庫の中にしまって、かぎをかけました。

そして、また、六人は、じっと金庫を見つめていましたが、やがて九時になり、九時半になり、九時五十分となり、とうとう十時になりました。

「いま、ちょうど十時です。二十めんそうは、やって来ませんでしたね。もう、だいじょうぶです」

明智たんていのぶかがいいますと、

「いや、まだ安心はできません。あい手は、まほう使いですからね。