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ふしぎなひと
ふしぎな人
江戸川 乱歩
「たのしい二年生」大日本雄弁会講談社/講談社、1958(昭和33)年8月~1959(昭和34)年3月<br>「たのしい三年生」講談社、1959(昭和34)年4月~12月
N4 · 入门 · 新字新假名 · 44,138 字 · 89 页
それに、木村さんのうちポケットから、ほうせきが出てきたのが、なによりのしょうこです。みんなは、二十めんそうが、どんなものにでも化けられる、へんそうの名人だったことを思い出したのです。
みんなは、へやの外へかけ出しました。そして、表門やうら門の外までしらべましたが、木村さんにへんそうした二十めんそうのすがたは、どこにも見えません。
「へんだなあ。そんなに早くにげられるはずがない。どこか、家の中にかくれているんじゃないかな」
明智たんていのぶかが、小首をかしげて、いいました。
「そうだ、家の中にかくれているんだ。門の外の町はずっと見通しなのに、どこにもいないんだから、外へにげたとは考えられない。きっと家の中だよ」
「それにしても、あの黒いお化けは、いったいなにものだろう」
「うん、そうだ。あいつのほうせきを取り返さなけりゃあ」
そこで、黒いお化けをつかまえて、しらべてみますと、
「おれ、ちんぴらたいのポケット小ぞうだよ。小林さんのめいれいで、こんな黒いシャツを着て、金庫の後ろにかくれていたんだ。おいらみたいな、小ちゃい子どもでなけりゃ、はいれはしないよ。だから、二十めんそうもゆだんしていたんだよ。